ごあいさつ


認定NPO法人ふるさと回帰支援センター
常務理事  高橋 公


新しい時代の風が吹き始めた

 1998年の連合の政策提起で始まったふるさと回帰運動はいま、大きなうねりになろうとしています。こうした中で、昨年来のアメリカ発の金融危機は瞬く間に全世界を席巻し、その影響はわが国の中でも深刻な影響が出ております。具体的には、派遣切りなど若者の失業率はかつてないものとなり、年収200万以下の労働者は1000万人をこえています。こうしたことは、この国の持続可能な形での発展を阻害することになりかねません。人は、子どもとして生まれ、教育を受け、大人になり、結婚し、子どもを作り、教育し、一人前の大人として育てられるという人の営みの循環が断ち切られるということになり兼ねません。このことは、結果として国の存亡に繋がりかねない危機をはらんでいるのです。

 こうした状況の中で、昨年あたりから、急激な勢いで若者のふるさと回帰の流れが顕在化しています。これは、従来からの右肩上がりの経済成長を前提にした生き方に対する素朴な疑問から出発しているもののようです。それは、豊かになったといわれてきたこの国の中で暮らしてきて、はたして本当に豊かなのかという疑問を感じ始めたことによるもののようです。一方では、食料自給率は40%まで落ち込み、いったん事が起きたらすぐにでも食料の確保が難しくなる国ニッポン、これが本当に豊かな国の姿といえるのだろうか。また、至近な例を挙げれば市場経済万能主義のもと繁栄を誇った世界に冠たる超大国のアメリカが、かくもあっさりと崩壊していく様は従来からの豊かな暮らしのイメージを決定的に叩き壊しました。

 こうした中で、自分で食べるものはせめて自分で作って食べる生活がしたい、子どもには何が混ざっているかわからない物ではなく本物のものを食べさせたい、子育ては自然環境のいい所で、せめて定年後は自然がいっぱいの田舎で暮らしたい、など様々な思いを持った人がふるさと暮らしを志向しているのです。

 時代が大きな転換期を迎える中で、豊かさが実感できるセカンドライフを志向する団塊世代にとどまらず、若者から子育て世代までが地方を目指す機運が出てきています。従来の地方から大都市への人口移動がはじめて、大都市から地方へと逆の流れが始まっています。まさに、ふるさと暮らしという新しい時代の風が吹き始めたといっていいようです。  今年も、一人でも多くの方が自分のふるさとを見つけられることを祈念しています。


以上