若者の田舎暮らしへの一考察

連休も終わり忙しい日常がまた戻ってきた。前号で触れましたがNHKが若者のふるさと回帰の増加に関心を示し、この間、3回も別々な番組で取り上げていただいた。いままでなかったことで驚いている。一回は夜7時のニュースで取り上げられた。視聴率から言えばベスト3に入る番組である。やっとここまで 来たかという感慨がある。

若者の田舎暮らし希望者の増加は何も最近始まったことではない。この傾向がはっきり数字として明らかになったのは2008年のリーマン・ショック以 降だ。リーマン・ショックはアメリカ発の世界的規模の金融危機だ。日本も大いにこの影響を受けた。この結果、若者の求人倍率は急落し、雇用状況は最悪のも のとなった。働こうにも職がないということになった。そこで、やる気のある若者から、活躍できる場を求めて地方に向かった。最近、全国各地の地域で頑張る 若者が話題になったりするが、この時期に地方に散った若者たちだ。それを追いかける若者たちが後を絶たない。あれから5年から6年、そろそろ地域に根が張 られ、目立ち始めているのである。

その一つの形が起業だ。仕事がなければ自らが生業(なりわい)を起し、生活していく。この間、私たちは「新しい公共」に関するプログラムや復興支援 プログラムなどで、全国で約190名の起業家を育成し、約4450名のインターンシップを行い、人材の育成を行ってきた。「農村六起」「復興六起」と命名 し、すべて第一次産業の六次化による起業をテーマにしてきた。現在も継続して事業展開している起業家は7割に達している。なにも年間売上が数千万円でなく てもいい。なにがしかの収入を確保し、次につなげていく。それでいいのではないだろうか。雇用が生まれればさらにいい。この起業家が地域に根ざし、生き抜 ければ必ず地域は変わる。この起業家育成こそが政治が率先して取り組むべき課題と考える。その時代に入ってきたのではないだろうか。まずは発想の転換から スタートしたい。

次に、2011年の3・11が子育て世代の田舎暮らしに道を拓いた。これは、セシウムを取り込みやすい子どもを放射能の影響を受けないところで子育てをしたいというお母さんたちが西日本に向かった。この傾向は現在でも変わらない。5〜6年前の移住希望者人気ランキングがあるが、当時はベスト20県の うち西日本は数県しかなかった。いまはどうだろう。西と東が逆転している。それを後押ししているのがこの子育て世代のお母さんたちだ。近年、中国地方が人 気だが「安全・安心」志向のお母さんがこの人気を支えている。

 

少子高齢化が話題になり、2008年からは人口減社会に入っている。社会構造を変えれば、この現象の克服も可能なのではないか。フランスは子育て環境の改善で少子化に歯止めを掛けた。ふるさと回帰者は子だくさんという声もある。

この面からのふるさと回帰運動を考えるのもあるのかもしれない。