「やまなし暮らし支援センター」移住専門相談員 渡邊さん・齋藤さんインタビュー
移住は大きな決断、思いに寄り添うことを大切に。「東京に近いのにちゃんと田舎」な山梨県の魅力を伝えたい。

山梨県の相談員は、山形県出身で富士吉田市の地域おこし協力隊として活躍した齋藤さんと、「人と接することが好き。いつも笑顔で!」そして「出身ではないけど山梨県が大好き」と語る渡邊さん。相談業務を始めることになったきっかけや、日々心がけていることをお二人にうかがいました。
渡邊さんインタビュー(2022年着任)
-相談員となった経緯を教えてください。
元々、人と接することが大好きで、旅行代理店に勤務して海外旅行企画など、自分の専門性を活かした業務を担当していました。新型コロナウイルス流行の影響もあり、転職するには今しかないと、会社の早期退職制度を利用し思い切って退職。人と関わり、地域とつながり社会貢献できるという移住相談員としての仕事に惹かれて、ふるさと回帰支援センターでの相談員になった次第です。
東京出身なのですが、趣味のキャンプで山梨各地にはよく出かけていました。もちろん観光でもいろいろと訪れました。自然が豊かで、人が温かくて、食べ物が美味しくて、都会とは違うさまざまが生きる力を教えてくれるような場所だと感じます。相談員として担当していると「わたしは山梨が大好きで、縁があったんだな」と実感しています。

渡邊さん
-山梨県の魅力は何でしょうか。
移住は大きな決断ですけど、その候補地として考えたときに山梨は心理的な負担が少ない場所ではないでしょうか。何よりも東京からだと距離的に近いですよね。だから完全移住だけでなく、二地域居住という選択肢もある。コロナ禍でテレワーク導入企業が増えましたし。何かあればすぐに東京に行ける距離感が貴重です。リニア中央新幹線ができれば品川駅までわずか25分で、今よりさらに近くなります。
それでいて都会とは違う「田舎感」がある。海以外は全部が揃っています。「山あり県」で、3000メートル級の山々がとても身近な存在です。甲府には都会の暮らしがあって、一方で東京都や埼玉県に隣接する丹波山村(たばやまむら)は人口約500人です。27市町村のそれぞれに特色があります。モモとブドウとスモモの生産量が日本一で、名水もたくさんあり、美味しさは格別。ミネラルウォーターの出荷額も日本一です。日照時間が長く、美味しい水があるからこそ、豊かな農産物が育まれます。また、ワインの生産量も日本一。美酒美食があり、観光資源が多いので、多くの人になじみのある土地柄だと思います。
-相談にいらっしゃるのはどのような方が多いですか。
いろいろな方がいらっしゃいますが、割と目立つのは子育て世代です。それからもう少し年齢が上のセカンドキャリアを考える世代も多いです。20~30代の方を中心にテレワークが便利な場所を探しているという例も増えました。
-相談業務の上で心がけていることはなんでしょうか。
マスクをしていますけど「笑顔」です!話をうかがうのが役割なのですが、それぞれいろいろな思いをお持ちになっての相談なのですから、お気持ちに寄り添うことをいつも大切にしています。話すのが得意な方もいれば、もちろんそうでない方もいらっしゃるわけですけど、おっしゃることの中に大事なヒントは必ずあるのでそれを聞き逃さないようにしようと努力しています。
相談内容は本当に人それぞれで異なるため、毎日が勉強ですし、刺激をいただいてありがたいと感じています。私は山梨出身者ではないので、相談者と同じ目線、同じ気持ちに立ちやすいのではないかと思います。

富士吉田市で開催された二地域居住体験ツアー。晴天に恵まれ、富士山が見えた(後列右から2番目、眼鏡をかけた女性が渡邊さん)
-移住を考えている方へのメッセージを。
富士山が好きで、よく見えるところに住みたいと希望された相談者がいらっしゃいました。ご本人と犬2匹で移住されるところをあちこち検討して、現地視察もされたけれども、なかなかぴったりしたところが見つかりませんでした。やっと決まったのが北杜市でした。
メールで移住を決めた理由をうかがったんですが、緑豊かで落ち着くことができる環境に加えて、地元の方々との偶然の出会いがいろいろあって、そのことで安心して住める場所だと実感することができたそうです。「決め手となったのは地域にお住まいの方々でした」とおっしゃるんですね。富士山が目の前に見える場所ではないけど、そうか最初におっしゃったことがすべてではないんだと私も気付かされました。
移住はある意味で人生を左右するイベントだと思います。それに関わっているということが身に染みた出来事でした。相談に来られる方はやはり漠然としたところがあります。お話しをうかがいながら、お求めになっている新しい生活とその実現方法をうまく具体的な形にできるように日々、努めていきたいと臨んでいます。
(※このインタビューは2022年10月に行われました。)
齋藤さんインタビュー(2019年着任)
-相談員になったきっかけについて教えてください。
私は山形県出身でして、大学進学で神奈川県に引っ越しました。在学中にゼミ活動の一環で山梨県を訪れた際に地域の方にとてもお世話になり、山梨県に対して良いイメージを持っていました。元々地域愛があり地域に関わる仕事をライフワークにしたいと思っていましたので、大学卒業後は富士吉田市の「地域おこし協力隊」に着任。富士吉田の食や自然、歴史などの魅力をWEBやイベントを通して発信していく業務などを担当しました。
富士吉田は東京から近いのに、山梨県独特の地域性が感じられる大変興味深い街です。お水や郷土料理のうどん、地元商店の名物メニューなど美味しいものもいっぱいなのですが、それ以上に魅力的なのが地域の方々の温かさです。協力隊として活動中にも「若い人のチャレンジを応援したい!」「地元の良さを発信してほしい!」など温かく迎え入れてくださる地域の方がたくさんいたお陰で、地域交流を深め自分の力を発揮できる場面が多くありました。公務員の方や生産者など様々な立場の街の人たちと一緒にたくさんの活動に取り組んだことを覚えています。

地域おこし協力隊時代の様子(写真左:中央/写真右:左が斎藤さん)
協力隊を卒業後は一般企業にも勤めましたが、やはり地域や自治体とダイレクトに関わる仕事がしたいなあと考えていたことも。ちょうどその時に「ふるさと回帰支援センター」の募集があることを知りまして、このお仕事ならお世話になった山梨の人たちに何か貢献できるのではと思い応募しました。
-相談業務で心がけていることはありますか?
相談者の家庭や仕事の状況を踏まえてどんな事を山梨に求めているか、山梨暮らしを何故考えているのかをお聞きするようにしています。相談者の年齢層は20代から70代と幅広く、山が好きというのは共通項なのですが、子育て環境の良さを求めて移住したい、リタイア後に自然豊かな環境で暮らしたい…等、目的も様々です。
県内は東京に近い「富士・東部地域」、桃と葡萄の栽培が盛んな「峡東地域」、県庁所在地の甲府市がある「中北地域」、温暖な気候で本格的な田舎暮らしが楽しめる「峡南地域」があり、それぞれ気候も特徴も違います。
希望の地域や移住の意思が固まっている相談者には、山梨暮らしをするにあたって必要な住まい・仕事の探し方などの情報をお伝えし、現地の相談窓口を訪れて体感してもらうことをおすすめしています。県の相談拠点が甲府市にあるほか、各市町村に移住相談担当者がいるので現地でもスムーズにご案内できます。移住する地域が決まっていない場合は、東京に近いという理由等で何となく希望している方も多いので、それぞれの地域の特徴や良いところ、不便なところをしっかりとお伝えするように心がけています。
また「ふるさと回帰支援センター」では月に数回、各市町村の担当者とお話しできる日を設けているので、こちらもご利用いただければと思います。
-印象に残っている相談者の方はいますか?
最初に担当させていただいた方で、北杜市にお住まいのご兄弟から暮らしぶりの良さを聞いていた様子でした。飲食関連の会社にお勤めで、移住して現地でお店を開業したいと相談を受けました。開業をするにあたってどんなエリアが良いのか、起業の相談窓口はあるのか、などとても熱心な様子でしたので印象に残っています。北杜市・韮崎市の移住相談窓口におつなぎし、実際に現地で経営しているお店を訪ねてみることをアドバイスさせていただきました。
その後現地の相談員さんより、韮崎市に移住を決めて開業の検討を進めているとご報告を受け、とてもうれしかったです。
お子さんの学習環境を考えて移住を検討している40代のご夫婦の例では、ご主人の仕事を変えることができないので東京から通える地域での移住を希望されていました。丹波山村や小菅村の山村留学制度などをご紹介して検討していただいていますが、その後、市町村合同の相談会にもご家族で参加されていらっしゃいます。お子さんのことを第一にとても真剣に考えている様子が印象的でした。実現に向けて、今後もしっかりとサポートできればと思います。
-最後に山梨県の魅力と、移住を考えている方へのメッセージをお願いします!
一言で言うと山梨県は「東京に近いのにちゃんと田舎」です。アウトドア好きにはたまらない山、川、湖のフィールドがあり素晴らしい自然環境が身近で、カフェや美術館、音楽ライブやワイナリー巡りといったアクティビティも満喫できる環境です。山梨県は人口約80万人の小さな地域なので、目の届く範囲に人間関係が構築されているのも特徴です。知り合いの知り合いが繋がっていたり、親戚がたくさんいたり、さまざまなコミュニティに所属している感覚に温かみを感じていただけると思います。地域によって、便利な市街地でゆるくつながる暮らしも、小さな集落でしっかり支え合う田舎暮らしも選ぶことが可能です。
もし相談者のみなさんのやってみたいことを実現できる場所が山梨県にあれば、それを叶えるお手伝いをさせていただければ嬉しいです。ぜひ、こんなことをしてみたい!こうなりたい!というイメージを持って、気軽に相談にいらしてください。
(※このインタビューは2019年に行われました。)

やまなし暮らし支援センター 移住専門相談員 齋藤・渡邊
プロフィール
齋藤:山形県生まれ。大学のゼミをきっかけに山梨県富士吉田市へ移住。地域おこし協力隊として活動後、「東京から地域と関わる」ことを模索し、通販会社やふるさと回帰支援センターの全国移住相談員を経て、2019年より現職。ご当地グルメが大好きな一児の母。
渡邊:東京都北区出身。短大卒業後は東京にて就職。旅行業界を経て、山梨県には観光やキャンプ等で度々来訪していた。以前より親しみやすさを感じており、ご縁があって2022年4月より「やまなし暮らし支援センター」移住専門相談員として着任。
相談員からひとこと
齋藤:都会にも自然にも近いのが山梨県の魅力。海はないけど湖がある、高層ビルはないけど富士山や八ヶ岳がある、空港はないけど東京に日帰り往復できる。そして小さな県だからこそ人とのつながりで面白いことがたくさん生まれています。気軽な二地域居住から本格的な田舎暮らしまで、皆さんの思いをぜひお聞かせください!
渡邊:山梨県は都心から近くアクセスも抜群なので、週末リフレッシュや二地域居住にもおすすめです。都市部は利便性が高く、郊外は美しい農村風景が広がり、心が安らぎます。また、一年を通して温暖な気候のためとても過ごしやすいのも特徴。さらに新鮮な果物や野菜、水も美味しいため、お酒やワインも格別です!多種多様な移住のスタイルに応じていきたいと思いますので、ぜひお気軽にご相談ください。