「さが移住サポートデスク」移住コーディネーター 中島・矢野

「その人の人生が、その人らしくあること」。ものづくりの土壌が根付く佐賀で、理想の暮らしを作り出す

「さが移住サポートデスク」移住コーディネーター 中島・矢野

「さが移住サポートデスク」の相談員は小・中・高校の12年間を佐賀で過ごした矢野さんと、長崎県出身の中島さん。お二人に日頃の業務内容や佐賀の移住動向、印象に残る移住者について伺った。

中島さんインタビュー(2022年着任)

「長崎県出身の方が佐賀の移住相談員?」と聞き、一瞬驚きましたが、中島さんが生まれ育った川棚町は佐賀県境の町。波が穏やかな大村湾を背に山を見上げれば、その独特な姿から九州のマッターホルンと称される虚空蔵山(こくうぞうさん)がそびえています。

-まずは佐賀県との関わりから教えてください。

教育関係の仕事から民間企業に移り、学生の採用活動や障害者雇用の定着支援業務などに従事していました。そんな折、求人を見た知人から「佐賀県や千葉県への移住の相談に乗る仕事がある。対人支援をしてきたあなたなら相談員は適任では?」と勧められました。コロナ禍を経て地元に戻ることも漠然と考えていたので「東京にいて、九州に関わる仕事、それも親戚もいる身近な佐賀に関わる仕事なら」と応募しました。2022年5月から、さが移住サポート業務に就いています。

中島さん

ー移住コーディネーターのお仕事について教えてください。

移住の相談に乗るのが仕事なのですが、まずは情報発信ですね。佐賀県に移住するとどんな暮らしができるのか、どんな楽しみが待っているのか、をお伝えします。向こうでの暮らしが具体的にイメージできるように「ふるさと回帰フェア(※)」で案内をしたり、「さが暮らしセミナー」を開催して、実際に移住された方をお招きして、佐賀でどんな暮らしを営まれているのか、仕事はどうしているのかといったことを紹介しています。
コロナ禍によってリモートワークも進んできましたが、移住となると行った先でどんな仕事ができるのかが気がかりですよね。「地方に移住したはいいが、果たして仕事はあるのか?」と心配される方もいます。もちろん、佐賀県のしごと相談室につないで就職先を探すお手伝いもしますが、飲食店を開くなど起業される方も少なくありません。実際に移住された方で、古道具と洋裁と喫茶の店を開店させたり、テレワークができるコワーキングスペースを作られた方もいます。

ふるさと回帰フェア…認定NPO法人ふるさと回帰支援センターが毎年秋に開催している移住フェア。全国各地域の自治体や団体が一堂に会する。

ーこの仕事の良さはどんなところに?

さが移住サポートデスクに来られたことをきっかけに、実際に移住された方から「佐賀県に移住して良かった」などの連絡をいただけた時は本当に嬉しいですね。直接連絡がないまでも、他のメディアに出て、移住生活について語られているのを見つけたりするのも楽しいものです。
移住される方の中には子育て世代の方も増えていて、都会の狭いマンション暮らしから佐賀で一戸建てを持たれる方が多いようです。「通勤時間が短くなり、家族の時間が増えた」なんて声を聞けるのも、この仕事のやりがいを感じる瞬間ですね。
ゆとりは、通勤時間が短くなったり、家が広くなったりしただけでなく、公園や川などで子供たちが思いっきり遊びまわっている写真を見せていただいたりする時にも感じますね。だって、お子さんの目がキラキラ輝いているんですよ!

ー印象に残っている相談者さんがいたら教えてください。

着任してすぐ、2022年の夏に出会ったご夫婦です。資料コーナーでお声かけしたのがきっかけでした。ふるさと回帰フェアの案内をしたところ実際に参加され、その年の冬に佐賀県へ移住されました。移住後、メールと写真をいただいたのですが、「子供も無事産まれ、子育てしながら毎日楽しくのびのびと暮らしています。近くにある公園は思ったよりも綺麗で桜が咲いてる時はびっくりしました。あの時中島さんに『佐賀県はいいですよー』とお声がけしてもらってなかったらご縁はなかったので、感謝しています」と、とてもありがたいご報告をいただきました。

中島さんが担当したご相談者様。移住後、生き生きと過ごされているとの報告が何よりうれしい

ーこの仕事の難しさはどんなところですか?

初めて来訪した方と1時間程度話しただけで、「本当は何を求めてらっしゃるのか」をつかむのはとても難しいです。一言で移住と言っても、何が知りたいのか、どんな情報が必要なのかは、段階によっても違いますから。
移住することは決めたけれど仕事が決まらなくて動けないとか。佐賀県にいる現地の担当者とも密に連絡を取って、相談者のご要望にお応えできるように努めています。また、必ず現地を訪問されるようにお勧めしています。

ー佐賀県の県民性は?

いいところがあっても決してアピールしないことですかね。佐賀にはいいところがたくさんあるのに「佐賀には何もなかですもんね」としか言わない(笑)。
佐賀市役所のプロモーション動画には、(架空の)「佐賀市なんもな課」という移住担当の課があるくらいです。「佐賀に移住するとき心配なんかなんもなか」という意味なんですけどね。佐賀県民の奥ゆかしい性格を逆手にとって、佐賀があまりにいいところなので、なるべく人に教えたくないという設定の動画をYouTubeにアップしてますのでぜひご覧ください。

移住の決め手は人との縁。佐賀の人たちは新しくやってきた人に手を差し伸べてくれる人たちなんです。必ず応援してくれます。「唐津くんち」のような伝統的な祭りもあれば、佐賀インターナショナルバルーンフェスタのようなアジア最大級の国際熱気球大会もあります。ドローン利活用に向けた活動なんかも結構盛んですし。

唐津市で行われる秋季例大祭「唐津くんち」。ユネスコ無形文化遺産に登録されている

ー理想の移住ってなんでしょう?

移住を良いものにするためには、「どこで、だれと、何をやりたいか」を明確に持っていることが大切だと思います。相談者の方が望むことが、佐賀でできるなら、ぜひ移住をお勧めします。移住って、新しいことにチャレンジすることだし、その方がより心地良い状態になること。移住がきっかけでそれが実現できたのだとしたら、こんな嬉しいことはないですね。
「その人の人生が、その人らしくあること」
それがいい移住なのではないでしょうか。

(※このインタビューは2023年4月に行われたものです)

矢野さんインタビュー(2016年着任)

-まずは佐賀県との関わりについて教えてください。

小学校から高校までの12年間を佐賀県佐賀市で過ごしました。当時家の近くには田んぼが広がっていて、春になると一面がピンク色のれんげ畑になったんです。小学生の頃は家に帰ってくると、すぐれんげ畑に座って花を摘んだりして遊びました。夢中になりすぎて、辺りが真っ暗になるのに気づかなかった記憶がありますね。一番多感な時期だったので、五感を通じて得た匂いや音などが記憶として今も染み付いています。

-「さが移住サポートデスク」で働き始めたきっかけは何でしょうか?

結婚を機に東京に来て20数年、子どもを育てながらさまざまな仕事をしてきました。そのあいだもずっと漠然とですが佐賀に関わりたいとずっと思っていたんです。佐賀県の友人の中でも人一倍「佐賀県愛」が強いと自負しているくらいで。そんな中、佐賀県の首都圏事務所のフェイスブックを見ていたら、移住コーディネーターの募集があったので、これはやってみるしかないと思い応募しました。

矢野さん

-現在も佐賀へ行かれるのですか?

2016年8月に出張で3日間佐賀県内を回ってきました。初日は佐賀市内、次の日は唐津から南へ下って、有田市と伊万里市に。最終日は、福岡県との境にある、佐賀市富士町に行きました。ここにはぬるめの泉温とぬるぬるとした心地良い肌触りが特徴の古湯・熊の川があります。その風情ある温泉街に、アンティークのお店を作りたいと希望された方が来られるなど、自分の趣味を生かす移住が目立ってきています。

-最近の佐賀ではどんな動きがありますか?

佐賀県は「日本一家庭で日本酒を消費する県」。「この日本酒にはこの焼き物の器」という組み合わせの提案をしているのは、焼き物文化が根付く佐賀県ならでは。他には「NAKED」とコラボして、九州初の夜景プロジェクションマッピングを佐賀県庁展望ホールで毎夜行っています。先ほどお話ししたれんげ畑も同じですが、一度建物を建ててしまったら元通りの状態に戻すのは難しいです。開けた土地があるからこそできる物事もあります。「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」もその一つです。稲刈りを終えた田んぼを活用して、バルーンの離着陸を行っています。これからは地元に古くから残る文化だけでなく、新たに佐賀に定着しつつある新たなモノも皆さんに知っていただきたいです。

2019年は、第43回全国高等学校総合文化祭「2019さが総文」が開催されます。昨年開催の長野県からバトンを受け取り、今年は全国の文化系高校生約2万人が佐賀県に集まります。

-「さが移住サポートデスク」にはどんな方が相談にいらっしゃいますか?

相談者の方は若い人が多く、佐賀での子育てを希望しているご家族や、将来を見据えて、若いうちから農業に就きたいという方がいらっしゃいます。以前、佐賀で起業したいんだけど住むところはどこがいいか、と相談されたことがありました。佐賀県は、その方のように明確な目的がある人にとってはそれぞれに適した土地がたくさんあるので、いろんな選択ができる場所だと思います。
相談を受ける中で、「皆さんの要望に対して、どうにかお応えしたい!」と思うのですが、移住にはその人の人生がかかっているので、あまり強く勧めすぎないように気をつけています。フラッと訪れた方には佐賀県の良さを知っていただいて「佐賀もいいんじゃない!」という土俵にあげることを、移住についてまだ何も情報がない方には制度の情報提供を、また、佐賀への移住を具体的に考えているが、あともう一歩という方には地図を活用し具体的なお話をして背中を押す、というように相談者の状況に合わせて対応しています。

saga07

佐賀県の資料ブースには子育てに関するパンフレット等も充実している

-佐賀の移住の現状について教えてください。

佐賀県の移住相談窓口として「さが移住サポートデスク」を3か所(佐賀、福岡、東京)に開設することで、移住希望者に対してきめ細やかなサポートを行っています。また、県内市町においても、移住者の受け入れ支援をミッションとした地域おこし協力隊の導入など、各自治体においても積極的に移住者の受け入れ体制の整備を進めています。
また佐賀県は子どもが3人以上いる家庭が多く、県では「子育てし大県さが」と題して、子育ての希望が叶う環境を整えています。人口10万人あたりの病院の数が全国5位で、小中学校の先生の数も多いです。公立の学校だけでなく早稲田大学など有名私立大学の付属校もあり教育面でも選択肢が多いという点が魅力です。お子さんたちは勉強もしながら自然豊かな環境でのびのび育つと思いますよ。

-佐賀の魅力を教えてください。

佐賀は海あり山ありの風光明媚な場所です。また、九州最大の都市福岡市へも近く、自然と都会のイイところ取りができる場所です。有田焼などの伝統工芸をはじめ、バルーンフェスタなどの見所もあります。ただ、自分たちのふるさとを人に自慢するのが少し苦手で、とても謙虚な方が多いんです。真面目で実直な人たちが多いからこそ、良いところがたくさんあるのに敢えて吹聴しない。それ以前に、外から見れば魅力的なものに溢れているのに県民の皆さんにとっては当たり前過ぎて気づいていないのかもしれません。佐賀の魅力は、ズバリそうした魅力的なものが日常にあるということだと思います。

-佐賀への移住を考えている方、悩んでいる方にメッセージをお願いします。

佐賀県民はまじめな県民性で、困っている人がいたら放っておけない温かさがあります。古くから育まれてきた伝統工芸や四季折々に見頃を迎える観光名所、豊かな土地が生み出す様々な食の魅力を持ち合わせています。今なら、成田空港―佐賀空港間で最安3,520円(片道)で訪れることができますので、まずは佐賀県に一度足を運んでみてください。滋味溢れる土地で手つかずの資源が残っているので、皆さんそれぞれの理想の暮らしを作り出していただけると思います。

(※このインタビューは2016年7月に行われたものです)

「さが移住サポートデスク」移住コーディネーター 中島・矢野

さが移住サポートデスク 移住コーディネーター 矢野・中島

プロフィール

矢野:佐賀県佐賀市で小・中・高校の12年間を過ごす。福岡の短大に進学後、ワードプロセッサのインストラクタとして勤務。結婚を機に夫の東京転勤にともない千葉県浦安市民に。2人の子育てをしながら、IT関係に従事。2016年7月より現職。

中島:長崎県川棚町出身。佐賀県との県境に位置する町で高校卒業まで過ごす。幼少期は伊万里市の親戚宅に遊びに行くなど、佐賀県は常に身近な存在だった。大学進学で山口、就職で関東へ。教育業界・サービス業界で「人」と向き合う仕事をし、2022年5月より現職。

相談員からひとこと

矢野:都心に近い場所で子育てをしてみて、思い出すのは佐賀市で過ごした幼少期。きれいな川で魚をとったり、れんげ畑で花飾りを作って時間の経つのも忘れて遊んだ日々。高校卒業30周年イベントで久しぶりに帰った佐賀は、きれいな街にはなってはいたものの、まだ自然がたっぷり。こんな場所で子育てできたら、という思いを改めて強くしました。福岡、長崎へのアクセスも便利で、教育にも熱心な佐賀県。多くの海、山の名産品と奥深い文化・芸術を是非皆様にお伝えしていきたいと思っています。

中島:佐賀は私にとってホッと心落ち着く第二のふるさと。福岡から佐賀経由で長崎に帰る際、電車の車窓から佐賀平野が見える度「ああ、帰ってきたな」と穏やかな気持ちになります。人のあたたかさ・歴史・文化・豊かな自然など多くの魅力がギュッと詰まった佐賀には、人生100年時代を豊かですこやかに生きるための可能性がたくさん!「佐賀で叶える笑顔のくらし」をモットーにご相談者お一人おひとりの目線に立ちお話を伺います。

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