「さが移住サポートデスク」移住コーディネーター 矢野さんインタビュー
ものづくりの土壌が根付く佐賀で、理想の暮らしを作り出そう

2016年7月に「さが移住サポートデスク」の相]談員として着任した矢野さんは、小学校から高校までの12年間を佐賀県佐賀市で過ごし、人一倍佐賀県愛が強いと自負している。そんなに矢野さんに、日頃の業務内容や佐賀の移住の現状、動向について伺った。
矢野さんインタビュー(2016年着任)
-まずは佐賀県との関わりについて教えてください。
小学校から高校までの12年間を佐賀県佐賀市で過ごしました。当時家の近くには田んぼが広がっていて、春になると一面がピンク色のれんげ畑になったんです。小学生の頃は家に帰ってくると、すぐれんげ畑に座って花を摘んだりして遊びました。夢中になりすぎて、辺りが真っ暗になるのに気づかなかった記憶がありますね。一番多感な時期だったので、五感を通じて得た匂いや音などが記憶として今も染み付いています。
-「さが移住サポートデスク」で働き始めたきっかけは何でしょうか?
結婚を機に東京に来て20数年、子どもを育てながらさまざまな仕事をしてきました。そのあいだもずっと漠然とですが佐賀に関わりたいとずっと思っていたんです。佐賀県の友人の中でも人一倍「佐賀県愛」が強いと自負しているくらいで。そんな中、佐賀県の首都圏事務所のフェイスブックを見ていたら、移住コーディネーターの募集があったので、これはやってみるしかないと思い応募しました。

矢野さん
-現在も佐賀へ行かれるのですか?
2016年8月に出張で3日間佐賀県内を回ってきました。初日は佐賀市内、次の日は唐津から南へ下って、有田市と伊万里市に。最終日は、福岡県との境にある、佐賀市富士町に行きました。ここにはぬるめの泉温とぬるぬるとした心地良い肌触りが特徴の古湯・熊の川があります。その風情ある温泉街に、アンティークのお店を作りたいと希望された方が来られるなど、自分の趣味を生かす移住が目立ってきています。
-最近の佐賀ではどんな動きがありますか?
佐賀県は「日本一家庭で日本酒を消費する県」。「この日本酒にはこの焼き物の器」という組み合わせの提案をしているのは、焼き物文化が根付く佐賀県ならでは。他には「NAKED」とコラボして、九州初の夜景プロジェクションマッピングを佐賀県庁展望ホールで毎夜行っています。先ほどお話ししたれんげ畑も同じですが、一度建物を建ててしまったら元通りの状態に戻すのは難しいです。開けた土地があるからこそできる物事もあります。「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」もその一つです。稲刈りを終えた田んぼを活用して、バルーンの離着陸を行っています。これからは地元に古くから残る文化だけでなく、新たに佐賀に定着しつつある新たなモノも皆さんに知っていただきたいです。
2019年は、第43回全国高等学校総合文化祭「2019さが総文」が開催されます。昨年開催の長野県からバトンを受け取り、今年は全国の文化系高校生約2万人が佐賀県に集まります。
-「さが移住サポートデスク」にはどんな方が相談にいらっしゃいますか?
相談者の方は若い人が多く、佐賀での子育てを希望しているご家族や、将来を見据えて、若いうちから農業に就きたいという方がいらっしゃいます。以前、佐賀で起業したいんだけど住むところはどこがいいか、と相談されたことがありました。佐賀県は、その方のように明確な目的がある人にとってはそれぞれに適した土地がたくさんあるので、いろんな選択ができる場所だと思います。
相談を受ける中で、「皆さんの要望に対して、どうにかお応えしたい!」と思うのですが、移住にはその人の人生がかかっているので、あまり強く勧めすぎないように気をつけています。フラッと訪れた方には佐賀県の良さを知っていただいて「佐賀もいいんじゃない!」という土俵にあげることを、移住についてまだ何も情報がない方には制度の情報提供を、また、佐賀への移住を具体的に考えているが、あともう一歩という方には地図を活用し具体的なお話をして背中を押す、というように相談者の状況に合わせて対応しています。
-佐賀の移住の現状について教えてください。
佐賀県の移住相談窓口として「さが移住サポートデスク」を3か所(佐賀、福岡、東京)に開設することで、移住希望者に対してきめ細やかなサポートを行っています。また、県内市町においても、移住者の受け入れ支援をミッションとした地域おこし協力隊の導入など、各自治体においても積極的に移住者の受け入れ体制の整備を進めています。
また佐賀県は子どもが3人以上いる家庭が多く、県では「子育てし大県さが」と題して、子育ての希望が叶う環境を整えています。人口10万人あたりの病院の数が全国5位で、小中学校の先生の数も多いです。公立の学校だけでなく早稲田大学など有名私立大学の付属校もあり教育面でも選択肢が多いという点が魅力です。お子さんたちは勉強もしながら自然豊かな環境でのびのび育つと思いますよ。
-佐賀の魅力を教えてください。
佐賀は海あり山ありの風光明媚な場所です。また、九州最大の都市福岡市へも近く、自然と都会のイイところ取りができる場所です。有田焼などの伝統工芸をはじめ、バルーンフェスタなどの見所もあります。ただ、自分たちのふるさとを人に自慢するのが少し苦手で、とても謙虚な方が多いんです。真面目で実直な人たちが多いからこそ、良いところがたくさんあるのに敢えて吹聴しない。それ以前に、外から見れば魅力的なものに溢れているのに県民の皆さんにとっては当たり前過ぎて気づいていないのかもしれません。佐賀の魅力は、ズバリそうした魅力的なものが日常にあるということだと思います。
-佐賀への移住を考えている方、悩んでいる方にメッセージをお願いします。
佐賀県民はまじめな県民性で、困っている人がいたら放っておけない温かさがあります。古くから育まれてきた伝統工芸や四季折々に見頃を迎える観光名所、豊かな土地が生み出す様々な食の魅力を持ち合わせています。今なら、成田空港―佐賀空港間で最安3,520円(片道)で訪れることができますので、まずは佐賀県に一度足を運んでみてください。滋味溢れる土地で手つかずの資源が残っているので、皆さんそれぞれの理想の暮らしを作り出していただけると思います。
(※このインタビューは2016年7月に行われたものです)

さが移住サポートデスク 移住コーディネーター 矢野・中島
プロフィール
矢野:佐賀県佐賀市で小・中・高校の12年間を過ごす。福岡の短大に進学後、ワードプロセッサのインストラクタとして勤務。結婚を機に夫の東京転勤にともない千葉県浦安市民に。2人の子育てをしながら、IT関係に従事。2016年7月より「さが移住サポートデスク」の移住コーディネーターとなる。
中島:長崎県川棚町出身。佐賀県との県境に位置する町で高校卒業まで過ごす。幼少期は伊万里市の親戚宅に遊びに行くなど、佐賀県は常に身近な存在だった。大学進学で山口、就職で関東へ。教育業界・サービス業界で「人」と向き合う仕事をし、2022年5月より現職。
相談員からひとこと
矢野:都心に近い場所で子育てをしてみて、思い出すのは佐賀市で過ごした幼少期。きれいな川で魚をとったり、れんげ畑で花飾りを作って時間の経つのも忘れて遊んだ日々。高校卒業30周年イベントで久しぶりに帰った佐賀は、きれいな街にはなってはいたものの、まだ自然がたっぷり。こんな場所で子育てできたら、という思いを改めて強くしました。福岡、長崎へのアクセスも便利で、教育にも熱心な佐賀県。多くの海、山の名産品と奥深い文化・芸術を是非皆様にお伝えしていきたいと思っています。
中島:佐賀は私にとってホッと心落ち着く第二のふるさと。福岡から佐賀経由で長崎に帰る際、電車の車窓から佐賀平野が見える度「ああ、帰ってきたな」と穏やかな気持ちになります。人のあたたかさ・歴史・文化・豊かな自然など多くの魅力がギュッと詰まった佐賀には、人生100年時代を豊かですこやかに生きるための可能性がたくさん!「佐賀で叶える笑顔のくらし」をモットーにご相談者お一人おひとりの目線に立ちお話を伺います。