福岡さんは長い営業職の経験から、「相談者目線」でお手伝いをするよう心がけているそうです。相談員となった経緯、茨城の魅力など交え、日々の業務で考えていることをうかがいました。

福岡さんインタビュー（2022年着任）

－相談員となった経緯を教えてください。

東京で生まれ、栃木県宇都宮市で高校を卒業し、進学で東京に戻りました。大学では心理学を勉強してその方面の職業を目指したのですが、残念ながら当時はまだメンタルカウンセラーが職種として確立しておらず、製薬会社に入りました。営業職のＭＲ（医療情報担当者）として30年以上働きました。早期退職して大学時代に希望したような仕事をしたいと考え、準備としてキャリアコンサルタントとフィナンシャルプランナーの資格を取りました。2021年末に退職し、ふるさと回帰支援センターの求人に応募し、茨城県専属として採用されました。

－茨城県との縁は？

東京以外に埼玉、長野、栃木、神奈川に転勤しましたが、実は茨城に住んだことはありませんでした。しかし取引先が茨城県内にあったので、しばしば足を運んでいましたし、さらに趣味のバス釣りで北浦（湖）にもよく出かけていました。ですので、土地勘はセンター職員になる前からあったと思います。

－茨城の魅力は何でしょうか。

自然が多い一方で東京に近いです。県内にも都市部がありますが、東京ほどには混雑していません。川が多くて土壌が良く、土地が肥沃なことから「農業県」でもあります。農業産出額は北海道に迫るトップクラスなんですよ。メロン、栗、レンコンなど収穫量日本一がいくつもあります。「野菜が美味しいロハスのイメージ」と言えばいいでしょうか。筑波学園都市のような、時代の最先端を行く場所もあります。

－相談にいらっしゃるのはどのような方が多いですか。

東京の人が9割で、いろいろな年代の方がいらっしゃいます。目立つのは20代、30代の子育て世代です。新型コロナウイルス流行をきっかけに「果たして東京に住んでいる意味はあるのだろうか」と考え始めたという方も少なくないように見受けます。テレワークの導入が進んでいることから、移住後は6割がそのままの仕事、残る4割が転職も考えるという割合になっています。東京が近いので、完全移住のほか、二地域居住ということも現実的に考えられます。
保育園、幼稚園、小学校などの変わり目で移住を検討する方は、茨城に移れば同じコストで1.5倍ぐらい住宅が広くなり、のびのび育てることができる点にひかれておられるようです。庭があって家庭菜園が楽しめるという声もうかがいました。
アウトドア好きの方でしたら、県北にはキャンプ場が多く、マウンテンバイクの本格的なコースもあります。茨城に来ていただいて体験して頂きたいです。

－相談業務の上で心がけていることはなんでしょうか。

まずは3点をうかがうようにしています。具体的に移住に向けて動こうとしている段階なのか、それともまだ漠然と考えておられるのか。次に、移住を検討されるようになったきっかけ、動機です。移住に何を求めていらっしゃるのかという話にもなります。そして茨城県内に知人や頼れる人をお持ちなのか。以上がはっきりすると移住相談の方向性が定まってくるように思います。
何よりも相談者さん目線を意識するようにしています。実は何が聞きたいのか、何を聞けばいいのかご本人がはっきりしていないことも多い。相談の中で、それが明確になっていけば幸いです。ぼやっとしたことを固めていく手助けが私の役割ではないかと思っています。ご夫婦で移住される場合、事前に意見を擦り合わせていただくことも大事ですね。

－物事の優先度を考えるのは大事ですね。

はい、そう思います。それさえはっきりすれば、あとは住む家などは、いろいろ探して何とかなることが多いです。あとは、とても細かい事柄なのですが、都心とは昆虫のサイズが違うように感じます。少し大きいように思います。ですので「虫は苦手、絶対無理」という人だと厳しいかもしれません。ほかにも車の運転ができないと不便とか、夜は街灯が少ないので暗いのが苦手な方だと慣れるのが大変とか、現実にはイメージ通りに行かないこともあります。
移住を検討されている市町の担当者やコーディネーター、移住の経験者らに話をつなぐことができます。近いので何度も現地に足を運んで、ご自身で将来の移住生活を想像していただければと思います。

（※このインタビューは2022年10月に行われました。）