今日もわたしは相談デスクへ向かう。人と関わる仕事の続け方
移住って、どういうことでしょうか。夢を実現するために、住所を移すこと?仕事の拠点を、地方へ移すこと?どうやら「人と人の信頼の上に生きること」かもしれません。

岐阜県専属移住相談員 岩瀬
- 出身
- 埼玉県加須(かぞ)市
- 勤務開始
- 2014年4月
- 前職
- 岐阜県東京事務所(観光・物産アドバイザー)勤務
- 将来のビジョン
- 岐阜のいずれかの地域で、2足3足のわらじを履いて、暮らしていきたい。
岩瀬さんの歩み
相談員になって5年目を迎える岩瀬さん。この仕事の魅力はもちろん、大変なことも知ってほしいと話します。「人が相手だからこそ迷いもするし、難しいこともある。それでも、こんなに嬉しいことはないと思うんです」。今日も岩瀬さんは相談デスクへ向かいます。
どうして相談員になったのか

岐阜との出会いを聞かせてください。
結婚後も旅行会社に勤めていたんですが、夫の名古屋転勤が決まったんです。わたしは一緒に引っ越すと、ふたたび旅行会社へ勤めました。観光パンフレットでは紹介されない情報を知りたくて、週末に岐阜へ。日本の水浴場88選に唯一河川としてランクインする長良川。その流域に発展する美濃和紙などの産業。“水のまち”なんだと思いました。
水以上に惹かれたのが、人です。どこを訪ねても、人が良い。もっと「知りたい」「話したい」「会ってみたい」。好奇心から、週末になると岐阜へ向かいました。
そこから、どうしてふるさと回帰支援センターへ?
ふたたび夫の転勤で東京へ移ったあとも、大好きな岐阜に関わりたかったから。将来は岐阜で2束、3束のわらじを履いて暮らしたいんです。
そうそう。好奇心というキーワードは相談者の方にとっても、大切なキーワードです。たとえば情報収拾1つをとっても、「岩瀬さん、現地を訪ねたいので行程を組んでください」という他人任せの姿勢では、求める暮らしも手に入りません。どんな暮らしを望んで、そのためには何が必要なのか。自ら考え行動する姿勢が欠かせないんです。
仕事を通じて、人生に変化が生まれたのか

この仕事の一番の特徴は、なんですか?
相手が「人」である点につきます。ときには「全部手放そうかな」と思うぐらい、迷う日もあります。でも、一人じゃないんですよ。ふるさと回帰支援センターには、同じ経験のある仲間たちがいます。「そうだよね」と言葉で返してくれる仲間がいることは、とても大きい。
移住の相談を受ける上で、心がけていることはありますか?
相談員は本来、地域と相談者のちょうど真ん中に立つべきかもしれませんね。わたしはつい、“地元より”に立ってしまうんですよ。
移住する人と、地元の人の一番の違いってなんでしょうか?移住する人の多くは、他の県を選ぶこともできると思うんです。でも、地元の人は何かあっても簡単には動けません。先祖代々、場合によっては数百年単位で地域に根を張って暮らしてきたものがあるから。「地域で暮らしていく人が、どうしたら営みを続けられるのか」を考えます。
そうしたつながりの中へ人を紹介する上で、どんなことを大切にしていますか?
信頼です。地元の方とわたし、相談者の方とわたし。その両方の信頼が大切です。こればかりは、一定の時間をかけないと生まれにくいものです。
この先の人生をどう描くようになったのか

大変なこともありながら、岩瀬さんがこの仕事を続ける理由は?
悩ませるのが人ならば、この上ない嬉しさをもたらすのも人なんです。
「家をセルフビルドするために移住したい」という相談者の方がいました。夢を叶えることは大事ですが、地域の人と関係を築くことがイメージできていないよう。そこで、地域のキーマンにおつなぎしたんです。「一度訪ねておいで」と。何度も地域へ足を運ぶにつれ、相談者の考え方が変わっていき、とうとう移住をしました。
その方は家を建てる夢を叶えた上、地域へ移住者を受け入れる窓口を担っているんです。ついこの間、ふるさと回帰支援センターへ立ち寄られた際に、顔を合わせて笑ってしまいました。「こんな未来想像していなかったよね」って。
地域に入ると実感しますが、一人の存在って、本当に大きいんです。だからこそ、人と人がつながれたときはやっぱり嬉しい。わたしが岐阜に行きますよね。そこで、かつての相談者が楽しく暮らす姿を見る。そして「岩瀬さんのあの一言がなかったら、わたしはここにいません」という言葉を聞く。本人だけじゃないんです。周りの人からも「あの人が来てくれて良かった」という声を。
何事も続けていくのは大変です。でも、続けていく先が必ずあります。だからこそ、一緒に頑張っていけたら、嬉しいです。
(2018/12/21インタビュー)